行きつけの・・・
お気に入りの喫茶店があったとする。架空の話だ。
いつも混みあってなくて、お客はまばら。一人で来ている人が殆ど。
心地よい音楽がかかっていて、いつもいい香りが漂っていて、
マスターは、愛想が良すぎず、かといって無愛想でもない。
おきまりのカウンター席でひとり、コーヒーを味わうひとときが好きで、
何かちょっと嫌なことがあったり、考え事があると、自然に足がその店に
向いている。
マスターはいつも渋く低い声で「いらっしゃい」とだけ言ってくれる。
笑顔じゃないけど、その表情は温かい。(そろそろかなと待ってたよ)っていう
表情なのだ。そしてわたしの顔を見て、その時の心の状態に効く、
魔法のようなコーヒーが必ず出される。見透かされ過ぎて恥ずかしいくらい。
二言三言、たわいもない会話をする時もあれば、一言も話さずに帰ることもある。
でも心は通じてる・・・気がしてる。勝手に?
だらだらとした無意味な会話ではなく、凝縮された時間。
そして帰る時はなんとなく心が落ち着いてる。

ところがある時から、いつ行っても、かつていつも自分が座っていた席に
別のお客が座っていて、マスターと話している。
新しい常連さんのようで、足繁く訪れているらしい。
こんな状況になると、わたしは、隠れ家を一つ失ったような気分になる。
もう足が向かなくなる。だから、隠れ家はあまり公表したくないのだ。
マスターには悪いけど、実はあまり繁盛してほしくない。
潰れない程度の来客であってほしい。そしていついっても、(待ってたよ)っていう
顔で、間髪いれずに「いらっしゃい」と迎えてほしい。
そんな、寂しがりで心の狭い、中途半端にプライドの高い人間なのだわたしって。
by cinnamon-didier | 2005-08-01 04:12 | 思ったこと
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